丸山虎ノ門法律事務所

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代表弁護士からのメッセージ

依頼の目的とその実現

 ここで、当事務所の弁護ないし事件処理の方法論らしきものを述べたいと思います。
 弁護士と依頼者の関係は、法的には、依頼者が弁護士に対し一定の法律事務を委任し、弁護士がこれを受任する委任契約関係と考えられています。例えば、弁護士が依頼者から金100万円の貸金返還請求訴訟を受任したとしますと、弁護士としてはその訴訟を誠実に遂行して判決を得れば、ましてはそれが勝訴判決であれば、その受任事務を履行したということになります。
 しかし、お金を貸した相手方が上記訴訟以前から無資力で、上記判決によっても回収できなかったという場合はどうでしょうか。依頼の目的がただ「判決書」を手に入れたいというだけなら問題はないのですが、貸金の回収ということであれば、回収可能性を検討しないままに上記訴訟を遂行したことは、委任事務は行なったと言えても、依頼の目的に対し誠実であったとは到底言えないのではないでしょうか。
 依頼者と弁護士の委任契約は、通常、依頼者が弁護士に対して社会的事実レベルでの一定の目的の実現を相談し、弁護士はその目的を実現するための法的手段を検討して、適切なアドバイスを行い、依頼者からその実現手段たる法律事務を受任するという過程を経て締結されます。従って、そもそも依頼者の実現しようとする目的が何であるかによって、弁護ないし事件処理の方針は根本から変更を受けるのです。上記例に即せば、依頼者の目的が貸金回収で、判決によっても回収可能性がないと判断されたなら、上記訴訟を受任したこと自体が間違いであったことになります。
 もっとも、上記貸金回収の場合にはその依頼目的は明確ですが、その他の多くの場合では、依頼者がその実現すべき目的を明確に認識しているという場合はむしろ少なく、目的自体を弁護士との相談のなかで決めているのがほんどではないでしょうか。
 そこで、弁護士は、その弁護ないし事件処理の方針を定めるにあたっては、依頼者がその置かれている全体状況において一体何を目的とすべきかということを依頼者とともに深く検討することが必要であり、それなくしては的確な弁護ないし事件処理の方針も立てることができないと考える次第です。
弁護士 丸山 健


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